mocha art portalでは、これまでに公開された貴重なインタビューも順次ご紹介していきます。
今回は、イラストレーターとしての歩みや作品制作への想い、創作の原点などについて語られた内容から、mochaの世界観の魅力に迫りました。
ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は、アールビバン株式会社発行の会報誌『AVIVA』093号に掲載されたインタビュー内容を抜粋し、Web掲載用に一部表現および構成を編集したものです。
Q―現在のような作品を描くきっかけはなんですか。
A―新海誠監督が監督・原作・脚本・絵コンテ・演出までの全てを手掛け、2007年に劇場公開されたアニメーション映画作品『秒速5センチメートル』を観て、背景を活かしてあそこまでの作品が作れることに強い衝撃を受けました。
青はあくまでも脇役ですが、それでもこんなにも感動を与えてくれるんだと思いました。
キャラクターとの背景という関係性だけではなく、映画の重要な要素としての背景。
自分もその可能性にチャレンジしてみたくなりました。
Q―作品を制作するうえでこだわっていることはありますか。
A―一目で、一瞬でわかる風景を描くように心がけています。
もともとアニメーション出身なので、ーコマはー秒にも満たないものです。
だから瞬間的にわかる絵にこだわっています。
作品を見た時に、絵の中に「これは何だろう?」と感じるものができるだけないようにと考えています。
Q―創作のスタートはまずロケハン(取材旅行)と聞いています。
A―自分の足で絵になりそうな場所を探して、その場所で構図を考え、写真を撮ったりして自宅でアレンジを加えます。
風景の中の主役を決めて、それが際立つように陰影をつけるのですが、写真の露出をイメージしながら光の位置を工夫しています。
Q―作品の特徴を一言で表現するとどんな言葉でしょうか。
A―自身のオリジナリティは画面の調整力だと思っています。
現実にはありえないものを、実際にあるように見せる、そのために全体を調整します。
そして陰影、シルエット ここがしっくりこないと描き続けられません。
シルエットを際立たせるための空であり、 空を際立たせるためのシルエットでもあります。
Q―あなたにとって風景とはなんでしょうか。
A―風景は無限の世界です。
ここに人や人工物が描かれることでドラマが生まれると思っています。
人を描く時は複数の人物は描きません。
人は悩む時に、一人になりたいけれど、完全な暗闇に行きたいわけではないと思っています。
そして、そんな時に受け入れてくれる風景を描いています。
誰か一人にわかる風景ではなく、みんなに届くような風景を描きたいです。
Q―自身の版画作品についてどのように思いますか。
A―工房の方の目線や手法が入ることでとてもおもしろくなると感じています。
制作時はモ二ターサイズでしか見ていないので、大きな版画で見るとまた違った作品に見えてきます。
技術の進歩でリアルなものはいくらでも作れる時代です。
リアルな描写だけで良いなら写真で十分です。
絵だからこそ生まれる風景を描き、版画だからこそできる風景を作りたいです。
おわりに
一瞬で伝わる画面づくりへのこだわりや、光とシルエットによって生まれる物語性、そして見る人をそっと受け入れてくれる風景への想いなど、今回のインタビューからはmocha作品の根底にある考え方を垣間見ることができました。
誰かを受け入れてくれる風景を描きたい――。
インタビューを通して語られたその言葉は、多くの人がmocha作品に惹かれる理由のひとつなのかもしれません。
mocha art portalでは、今後も作品紹介やインタビュー、展示会情報などを通じて、作品世界の魅力をお届けしていきます。
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